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このショップについて

2017年7月 今思うこと
2013年にセラムアーツを設立してから4年が経過しました。下の文章を読むと当時のことが鮮明に思い出されます。 結果として、セラミックスを使ったiPhoneケースは思ったほど売り上げが伸びず、ビジネスとしては失敗でした。 自分の思い込みと過信を痛感しました。企業を立ち上げても最初は失敗するとよく言われますが、今ならその意味がわかります。 十分な市場調査をせず熱意と思いこみだけで売れると確信し、売れたときを想定して投資をして在庫を抱えました。 後になると、投資と在庫は全て損失となって跳ね返ってきました。 セラムアーツを始めたころは、iPhone用セラミックスプレートを出荷するときのケースで随分悩み、高級ケースでなければならないということで、特注して千個ほど作りました。 しかし、実際に使ったのは10個以下で、包装はビニールの梱包材に包めば十分でした。 この他、アルミフレーム、ラバーフレームも大量に生産しましたがほとんどは在庫となりました。 また、強度が高いが値段も高いジルコニアセラミックを使ったのも間違いでした。ユーザーは多少強度が落ちても値段が10分の1のアルミナプレートを選びました。 全ては自分の勝手な思い込みでビジネスプランを考え、顧客の正直な声には耳を傾けようとしなかったのが失敗の原因です。 ビジネスが上手くいかないときは、こうすれば売れるはず、ああすれば上手くいくはずと考え、投資を拡大して損失を増やします。 熱い気持ちがないとビジネスは立ち上がりませんが、熱い気持ちこそが失敗の原因にもなることを学びました。

通常でしたらセラムアーツは失敗で終わるはずでした。損失は数百万円でしたが、お金よりも失望感だけが残り、そこで止めていたら負けただけの人生になっていたと思います。 セラムアーツを救ったのは、開き直って始めたデジタル転写紙のビジネスです。3年前にiPhoneケースの先行きが見えたところで思い切ってドイツの会社にメールし、最後の資金を全て使ってプリンターを購入しました。 iPhoneケースの失敗で学んだことは、中国で生産したものを日本で売るだけでは利益は上がらないこと、在庫を抱えてはいけないこと、利益率を上げなければならないことでした。 デジタル転写紙は、材料は紙とトナーですがオーダーメイド印刷をすることで付加価値をあげることができます。自分の技術で付加価値を上げることがいかに大切かを学びました。

しかし、デジタル転写紙のビジネスを立ち上げるのには本当に苦労しました。まず、褐色の部分に穴が空く問題が発生し、それが何故なのかわからず試行錯誤を繰り返しました。 強い色で印刷すると欠陥が発生し、それを抑えるにはボケたような淡い色まで落とさなければなりません。また、色ずれもひどく印刷するたびに、なんでこんな色なんだと失望しました。 そのころ出荷した商品は今考えれば本当にひどい出来で、お客様には今でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。そのころのお客様が今でも利用してくださるのは本当に有り難いと思っています。 ポーセラーツの先生方は本当に優しい方ばかりで、たまにブログを見ると皆さまとても綺麗でセンスが良いので驚きます。 そんな先生方に迷惑をかけてばかりでしたが、徐々に徐々にデジタル転写紙というものが分かるようになり、印刷条件も少しずつ精密化してきました。 トビと縮みを抑えるスプレーを開発できたことも大きかったです。 今は、なるべく濃い色を出そうとし時として限界を超えて不良を出すこともありますが、すぐに条件を緩和して2度と同じ間違いがないようできるようになりました。 試行錯誤を繰り返し最終的に到達した色合わせ方法はなんと目視でした。デジタル転写紙の色ずれは本質的な問題でデザインごとに異なります。 何回か印刷し目で見て満足いくまで色を調整するのが最も正確であるという結論に達しました。 こんなに時間をかけたら採算が合わないと思いますが、もう少しもう少しと粘って何枚も印刷してしまいます。 それでも色を完全に再現することはできませんが、「これでだめなら他に頼んで」と思える段階まで調整するようにしています。 最近は印刷した転写紙を見て、綺麗にできたと思えるようになり、自分の仕事にも少し満足できるようになりました。 まだまだ改善点はありますが、一応、完成といえるようになったので、この文章を書くことにしました。

セラムアーツの実態はベンチャーなどと言えるものではなく、家内と二人でやる零細企業です。 セラムアーツの収入は決して多くはありませんが、退職後に人に雇われるのではなく自分の力でお金を稼ぐことができることは、生きがいという意味でも重要だと思う今日この頃です。 今後の目標は海外展開です。日本のポーセラーツの先生方は非常にレベルが高いので、同じようにやれば大丈夫だろうと考えています。 世界で最も綺麗なデジタル転写紙を最も安く販売するつもりです。自分も日本人の職人の一人として頑張ります。

デジタル転写紙を始めてから3年が経過し、今思うことは、何よりも、不良品と失敗にも関わらずご利用いただいたポーセラーツの先生方への感謝です。この場を借りて改めて心から御礼申し上げます。

2017年7月 セラムアーツ店長


このショップはセラムアーツ合同会社により運営されています。ご来店誠に有難うございます。
セラムアーツは、セラミックス関係の研究をしている自分(店長, 男,56歳)とその姉(ピアノ教師・音楽家)、自分の奥様(専業主婦)が中心となり、 「技術と芸術の融合」をコンセプトに、2013年に湘南・藤沢の地に設立された合同会社です。セラムアーツの最終目標は、特に家庭にいて現在仕事をしていない女性の方に、 自分の趣味を活かして収入を得る方法を提供することです。女性のこのような経済活動の積み重ねが将来の日本を支える力になると信じて会社を設立しました。

セラムアーツ設立の経緯(1)“日本製工業製品の付加価値を上げたい”
 2005〜2012年の7年間は日本の技術者にとってまさに受難の時代でした。新興国の追い上げと円高により日本製品の競争力は失われ、工業大学出身である自分の友人の中にも、リストラされたり出向になったりした人が数多くいました。会社を辞めた技術者の中には、生きていくために韓国企業へ行って 自らの技術を売り渡すしかなかった人もいますし、夢も希望もなくして精神的な病となり自ら命を絶った人も少なくありません。世界をリードしていた日本の技術が競争力を失い、 企業だけでなく社会全体にも閉塞感が漂っていました。それに追い打ちをかけたのが2011年3月の東日本大震災でした。福島の原子力発電所の爆発をテレビで見たとき、 これで日本も滅んでしまうと思い涙が止まりませんでした。
 しかし、日本人は強い民族でした。震災の復興でヒーローはいませんでしたが、一人一人が自らの仕事を懸命にこなし、命の危険があっても黙々と義務を果たす人、 ボランティアで汗を流す人、私財から多額の復興資金を寄付した人などが数多くいました。
 自分も微力ながら日本のために何かをしたいと強く強く思いました。 そして、どうしたら日本の工業製品の付加価値を飛躍的に上げられるかということについて、真剣に考え始めたわけです。その解答は工業製品へ芸術的な要素を取り入れることでした。芸術性の高い絵画は、絵の具とキャンパスの値段の数万倍、あるいは、 それ以上の価値を生み出すことがあります。これは工業製品では全く不可能なことです。なんとか自分の専門であるセラミックスと芸術を融合した新しい製品を作りたいというのが、 セラムアーツ設立の最初の動機でした。

セラムアーツ設立の経緯(2)“ジルコニアセラミックスでiPhoneケースを作る”
 最も頭を悩ませたのは絵を書く「キャンバス」はどこにあるかということでした。iPhoneケースに絵が描かれているのは知っていましたが、 全てプラスチックへの機械印刷で芸術を描くには適していません。そんな中で電気系メーカーに勤める昔の友人から、「スマホの機能は早晩飽和する、 これからは手触りやデザインがスマホの勝敗を決する」という話を聞きました。手触りなら陶器のはずです。毎日使う食器に誰も金属製やプラスチック製は使いません。 しかし、陶器で作ったケースは落とせば割れてしまうという決定的な欠点がありました。
 セラミックスの専門家としての知識で、落としても割れないようにするには、高強度ジルコニアセラミックスを使えば良いことはすぐに思いつきました。 しかし、ジルコニアセラミックスでiPhoneの背面の形状を作るのには本当に苦労しました。四角の板を削って外形を加工してカメラホールを開けたらプレート1枚の値段は1万円以上になってしまいます。 硬いセラミックスを切ったり削ったりするのはお金がかかるためです。 値段を下げるには、最初から、あの形で焼き上げるしかありません。しかし、セラミックスは1500℃の高温で焼成したときに20%以上も収縮します。 こんなに収縮した後で±0.1mmの精度で設計どおりの形状ができるのか、カメラホールの形は崩れないか、板は反らないか、表面は平坦になるのかなどの課題が山積していましたが、 これらを試行錯誤で一つ一つ解決していきました。
 そして、最後まで残った課題が、陶磁器の手法(転写・手書き)でジルコニアセラミックスに絵付けできるようにすることでした。最終のテストで、 色々な絵の具をつけて焼いたあと綺麗に発色したセラミックプレートを見たときの感動は忘れられません。この成功によりセラムアーツを設立することを決断しました。

女性の方に収入を得る方法を提供したい
 日本の女性は、繊細な感性・優れたセンス・芸術的創造力において世界で類のないほど優れています。彼女たちの嗜む芸術的な趣味の多様さとそのレベルは、 日本の工業技術の優位性などをはるかに凌ぐほどです。しかし、彼女たちの多くはそれで収入を得ることができていません。 専業主婦の方は、ご主人の仕事の状況で収入が大きく減っても、それをカバーする手立ては限られています。技術者の夫がリストラでやむなく会社を去ったとき、 その陰で多くの女性が涙を流したはずです。家計を助けるためとはいえ、才能ある多くの女性が辛い労働をせざるを得なかったのは想像に難くありません。 もしも、そのとき彼女たちが自分の趣味や感性を活かして収入をえることができていたら、状況は違っていたはずです。また、運よくリストラは免れたとしても、 我々の世代の老後は決して明るいものではありません。60歳を超えて条件の良い再就職など期待できるはずもなく、僅かばかりの年金収入だけに頼り、 楽しみも生きがいもなく死への旅立ちを待つだけの人生になるかもしれません。
 誰も皆、日本人として一生懸命に誠実に生きてきたのに人生の最後にそんな仕打ちはないでしょう。 気持ちの上でも経済的にも豊かな老後を送りたいなら、女性の方も自分の身は自分自身で守るしかないのです。それには趣味として一生楽しんで続けられ、 一定の収入が得られる方法を見つけるしかありません。やりたい仕事で本当の才能を活かすということです。
セラムアーツはそんな方法のうちの一つを提供したいと思っています。

ポーセラーツの先生方、生徒さん、陶芸家の皆さま
 セラムアーツのショップを開店した時、いくつかのポーセラーツサロンの先生方にご協力をお願しました。皆さん快く引き受けてくださり本当に感謝しています。 その中で驚いたのは、先生方は皆さん素晴らしい才能の持ち主ですが、自らの作品を販売して生計を立てている人は、ほんの一部しかいないということでした。 残念ながら、これでは折角の才能を活かしていることにはなりません。芸術家は芸術作品を創るから芸術家なのです。でも、作品展を開いても持ち出しの方が多く、 デパートで展示販売をやれば利益の大半はデパートが持っていきます。おかしいとは思いませんか。こんな状況になっている原因はたった一つです。 それは、これまで多くの人が買ってくれる「キャンバス」がなかったためです。
 iPhoneケースは現代における世界共通のキャンバスです。販売数は年間数千万枚です。このキャンバスにご自身の芸術を思いっきり描き、 世界中に売ろうではありませんか。現時点で陶器のキャンバスを持っているのは日本だけで、それもデパートのものではなく、我々自身のキャンバスなのです。 ポーセラーツサロンの先生方、生徒さん、陶芸の絵付けが趣味の主婦の方、皆さんの作品が世界で販売され、世界の人の心を豊かにし、 さらにその収入が適切な比率で皆さんに還元されるとすれば、素晴らしいと思いませんか。誇りを持って一生続けられる仕事でしょう。 セラムアーツはそのお手伝いがしたいのです。

セラムアーツは、まだ全く知られておらず売り上げもわずかで、上に書いたことは夢のまた夢ですが、何とか夢を実現するように努力していきます。 何年かして、セラムアーツファンの主婦の方が共同で海外販売専門のネットショップを立ち上げるとか、そんなことが起こったら素晴らしいと思っています。
最後まで読んでいただき本当に有難うございました。どうか、セラムアーツへのご理解とご支援をよろしくお願いします。

2013年11月 セラムアーツ店長